軽自動車の場合、新車で搭載されるバッテリーにもコストカットされていることが多く、小さなサイズのバッテリーが使われていることが多いです。
とくに廉価グレードでは性能ランクが低く必要最低限のバッテリーが搭載されていて、2年未満で寿命を迎えることも珍しくありません。
今回は、軽自動車のバッテリーをサイズアップするメリットやデメリット、おすすめなサイズアップをタイプ別に紹介していきます。
軽自動車のバッテリーはサイズアップがのぞましい
実際にエンジンルームにセットされた状態のバッテリーを見てみると、バッテリーがセットされてもスペースが空いていることが多く、ワンサイズ大きなバッテリーが入ることがあります。
また、バッテリーの性能を数字で表している「性能ランク」も、あまり高性能なものは新車搭載されていません。
新車搭載バッテリーはコストカットされている
すべての軽自動車に当てはまるお話ではありませんが、軽自動車に新車から装着されているバッテリーは長持ちしないことが多いです。
商用バンのバッテリーは要注意
とくに商用バンのような廉価版の軽自動車の場合、かなりギリギリの性能のバッテリーが搭載されています。
たとえば、スズキのエブリィバン(DA17V)では新車搭載バッテリーは「38B19R」ですが、商用車として車内で休憩をとるような使い方をするとバッテリー寿命は短くなりがちです。
それに対して、常用のエブリィワゴン(DA17W)ではアイドルストップ車ようの「K-42R」が搭載されていて、エブリィバンに搭載することができます。
使用する用途に合わせてバッテリーを高性能なものにすることで、不意のバッテリー上がりを回避することができます。
市販バッテリーなら選択肢が多い
また、今では乗用タイプの軽自動車では当たり前の装備となったアイドルストップ機能ですが、専用バッテリーも新車搭載より高性能なものが多く販売されています。
長持ちするかどうかは使用条件によって違ってきますが、新車搭載のものは長持ちしないことが多いです。
「サイズアップ」とは「容量アップ」を意味する
「バッテリーをサイズアップしたい」という相談をいただくこともありますが、この場合で言うサイズアップとは、「容量アップ」を意味することがほとんどです。
↑ バッテリーの性能ランクは数字で表記されていて、数字が大きくなると性能も高くなります。
バッテリーのサイズを大きなものに変更することで結果的に容量も上がっていることが多いですが、価格を気にしすぎると、寸法は大きくても性能は変わらないこともあるので注意が必要です。
そのため、ここではサイズアップとは容量アップを目的としたことと定義してご説明していきます。
バッテリーをサイズアップするメリットとデメリット
サイズアップのメリットは「安心感」
バッテリー容量がアップすると、バッテリー上がりを起こすリスクを下げることができます。
バッテリー上がりのリスクを下げられる
車のバッテリーを乾電池に例えると、単3電池よりも単1電池のほうがサイズも大きく重量も増えるぶん、そこに貯められている電気も増えるのと同じだと考えてください。
より容量の大きなバッテリーを装着することでルームランプやスモールランプをつけたままにしてしまっても容量の小さなバッテリーよりエンジンを始動できる可能性が高いです。
バッテリーの寿命が伸びやすい
バッテリーの中に貯められている電気をどれだけ多く放出してしまうかどうかでバッテリーの寿命が違ってきます。
たとえば、バッテリーが満充電されている状態を100%とすると、85%くらいまでしか電気を使わない場合と50%まで使う場合では、前者の85%のほうがバッテリーが長持ちします。
つまり、容量が大きなバッテリーにすることで放出する電力の割合を少なくすることができるため、バッテリーの寿命を伸ばすことができます。
電装品を増設することができる
車中泊など、車のなかで過ごす時間が長い場合は、お湯を沸かしたり携帯電話やパソコンの充電などを行うことも増えます。
電子機器の充電くらいではバッテリーに大きな負担になることは少ないですが、冷やしたり温めたりするアイテムはかなりの電力を消費します。
また、サブウーハーなどの大音量で重低音を出すような場合、バッテリーへの負担は大きくなり、ノーマルのバッテリーだけではバッテリー上がりになる恐れがあります。
夏場のエアコン使用対策にもなる
車のなかで休憩を取るような職種の方も多く、軽自動車を営業車にしている場合だとクーラーをかけながら小休止や食事をすることもあります。
車の電装品のなかでも、クーラー(冷房)は非常に電力を消費するため、停車中にクーラーを使用しているとバッテリーにかなりの負担をかけます。
お盆の帰省ラッシュの時期におきる車のトラブルでトップクラスに多いのがバッテリー上がりで、その原因はクーラーです。
そのため、バッテリーの容量を上げておくことで渋滞時のノロノロ運転や停車中でもバッテリー上がりを抑えることができます。
デメリットは意外と少ない
軽自動車のバッテリー容量やサイズを上げると、バッテリー価格が高くなるというデメリットがあります。
とはいえ、大排気量車やディーゼルエンジン車などとくらべると、もともとのバッテリーのサイズが小さいこともあり、大幅な価格アップとはなりません。
たとえば、新車搭載が38B19Rのバッテリーだった軽自動車にアイドルストップ車用のK-42Rを組み込むことはできますが、価格差は8,000円ほどです。
アマゾンや楽天など、ネットで購入することで高性能のバッテリーをかなり安く購入することができます。
整備工場やディーラーでバッテリーを交換してもらうことを考えると価格差がかなり小さくなってしまいます。
軽自動車におすすめのバッテリー
軽自動車はコンパクトに作られているため、バッテリーを搭載するスペースにも限りがあります。
また、バッテリーが配置されている場所に関してもバッテリー寿命に影響してしまうような車種もあり性能を上げるメリットがあります。
アイドルストップ車
信号待ちなど停車中にエンジンが止まるアイドルストップ機能がついている場合、高性能な専用バッテリーでも長持ちしないことが多いです。
アイドルストップ機能に制限をかける後付けパーツもありますが、もっと簡単な対策としては性能を上げることです。
たとえば、「K-42」が新車搭載されている場合、社外品のバッテリーなら「M-65」など、性能ランクが大きなものに交換することができます。
▲新車装着バッテリー | ○互換バッテリー | |||||
外形寸法 | 性能ランク | 端子位置 | 外形寸法 | 性能ランク | 端子位置 | |
K | 42 | R | ⇛
|
M | 42~65 | R |
M | 42 | R | ※外形寸法・端子位置に互換性があり、より性能ランクが大きなものに変更することをおすすめします。 | |||
※KとMはバッテリーサイズの横幅が1cm違うだけで互換性がありどちらも適合します。 |
装着例 | ||
K–42R | ⇛ | ◯ M–42R |
M–42R | ⇛ | ◯ K–42R |
M–42R | ⇛ | ◎ M–65R |
K–42R | ⇛ | ◎ M–65R |
「K-42」と「M-42」では横幅が1センチ違うだけですが、市販されているバッテリーでは「M-42」「M-55」」「M-65」などM寸が増えています。
小型で高性能であるほうが少し割高になることもあり、Mタイプで性能ランクも大きなものがおすすめです。
軽トラック
軽トラックのバッテリーはサイズも容量も小さなものが新車搭載されているので、サイズアップするメリットは大きいです。
また、直射日光にさらされるような場所にバッテリーが配置されている車種も多く、液が減りにくい密閉式のバッテリーもおすすめです。
ただしバッテリーのサイズは横幅が20センチのものが限界で、24センチにサイズアップすることは難しいです。
オートスライド付きハイトワゴン
ホンダのN-BOXやダイハツのタント、スズキのスペーシアなど、オートスライド機能つきのハイトワゴンは非常に使い勝手がよく、子育て世代にも人気が高いです。
ただしオートスライド機能は、エンジンがかかっていない状態ではバッテリーの電気を消費して開閉しているのでバッテリーへの負担は大きいです。
そのうえ、一回の走行時間も走行距離も短いような「ちょい乗り使用」が多く、バッテリーの寿命が短い傾向にあります。
可能な限りサイズも容量も大きなものに交換することが望ましいです。
このサイトでもおすすめバッテリーとしてよく紹介している「パナソニックCAOS」はバッテリーとしての性能ランクも高くおすすめです。
詳しくは車種別の適合表からおすすめバッテリーのページを御覧ください。
軽バン
商用タイプの軽バンは、軽自動車のなかでもバッテリーを酷使することも多く、なおかつ仕事に使うのでランニングコストにも気をつけるユーザーさんが多いです。
安いバッテリーをどんどん交換するパターン
年間走行距離が多い場合はバッテリーの寿命が伸びやすいこともあり、つねに満充電に近い状態にできればバッテリーは廉価版の価格の安いものでもいいかもしれません。
最高ランクのバッテリーでリスク回避
とはいえ、車の中で昼休憩や食事をしたり、電話や簡単な事務処理までするような「走る事務所」のような使用条件ならバッテリーは最高ランクのものが安心できます。
また、配達などでエンジンを頻繁に止めるような使い方をする場合、アイドルストップ車用のバッテリーを使うことでバッテリーの寿命を伸ばすこともできます。
つねに忙しく動き回っている商用車は整備工場にいく時間も限られてくるため、長持ちするバッテリーを使うこともおすすめです。
まとめ
今回は軽自動車のバッテリーのサイズアップや容量アップについてのお話でした。
まとめると、
・新車搭載のバッテリーはあまり長持ちしないギリギリの性能が多い
・サイズアップとは容量アップが目的で性能ランクで選ぶ
・性能ランクが高いバッテリーでもネットなら割安で購入することができる
・アイドルストップ車なら「K-42」より、「M-42」や「M-65」などM寸法が商品ラインナップが多い
・オートスライドドア付きなら容量アップがおすすめ
・バッテリーが直射日光にさらされるタイプの軽トラックは密閉式がおすすめ
・商用バンならコスパ重視で安価なバッテリーもあり
・配達などでエンジンをよく止めるならアイドルストップ車用をつかうのもおすすめ
・車内で休憩を取るような営業車ならバッテリーの容量アップは大事