「ガソリンスタンドでバッテリーの交換を勧められたら結構な金額を請求された」
「ガソリンスタンドのバッテリーは価格に見合うくらいいいものなの?」
ガソリンスタンドでバッテリー交換をしたあとで「高いものを売りつけられたのかな・・・?」
今でもこういった問い合わせや相談を受けることはよくあります。
結果から言えばガソリンスタンドのバッテリはー「安くはない」とお答えしますが、価格に見合ったいいバッテリーを勧められていることも多いです。
今回のテーマは、
・ガソリンスタンドでバッテリーを交換するのはお得なのか、割高なのか?
・ガソリンスタンドで売っているバッテリーの品質はどうなのか?
これらについての記事となります。
ガソリンスタンドでのバッテリー交換は高い?
交換の作業料金がサービスなことも多い
ガソリンスタンドではバッテリーの交換作業料金が安く設定されていることが多く、サービスで交換してくれる場合もあります。
バッテリーそのものの交換はそれほど難しくない車種も多いので「簡単なのでサービスです」というケースもあれば、バッテリーにしっかり利益が含まれるから交換はサービスということもあります。
車のバッテリーは自動車関連の部品のなかでも利益率が高い商品で、利益率が40%以上の商品も多いです。
たとえば、1万円を支払ってバッテリーを交換してもらった場合、バッテリーの仕入れ価格は6,000円以下ということも多いです。
なかには高性能でなおかつ専売のバッテリーでは利益率が50%ちかいものもあります。
ただし、最近ではバッテリー交換後にリセット作業などが必要な車種も増えたのですべての車で交換料金がサービスではありません。
また、輸入車に関してはそもそもバッテリーの種類が日本車とは違うので交換作業をやっていないガソリンスタンドがほとんどです。
ガソリンスタンドの油外収益とは
ガソリンスタンドでは軽油やガソリンなどの燃料以外から得られる収益を「油外収益」と呼んでいます。
油外収益はガソリンスタンドにとって貴重な収益源で、とくにフルサービスのガソリンスタンドでは給油スタッフの人件費を確保するためにも重要です。
とくに周囲のガソリンスタンドがセルフになっていると、ガソリンや軽油の価格も安く設定されているぶん、価格も追従して安くしています。
利益がのぞめない部分を油外収益で確保しているのが現状ですが、それだけに利益が薄い商品では人件費とまかなうことも難しくなります。
では、ガソリンスタンドで販売しているバッテリーは「安く仕入れて高く売る」という、利用者にとって割高な商品かといえば、そうでもありません。
付加価値のある高性能なバッテリーを「それなりの価格」で販売していることが多く、販売スタッフが対面で販売しているので商品の説明もしっかりしてくれます。
ガソリンスタンドのバッテリー価格と品質について
それでは、ガソリンスタンドではどんなバッテリーをどれくらいの価格で販売しているのでしょうか。
筆者はエネオス系のガソリンスタンドを運営している会社に勤務しているので、エネオスのバッテリーを例にあげておきます。
エネオスのバッテリーは最強クラスかも
エネオス系列のガソリンスタンドで販売しているバッテリーは「ビクトリーフォース」と呼ばれるもので、エネオスのプライベートブランドです。
密閉式ではありませんが、バッテリーの性能ランクも各サイズのなかでは最高ランクとなり、非常に高性能で耐久性も高いです。
たとえばアイドルストップ機能つきの軽自動車なら新車装着なら「M-42」というサイズと性能ランクですが、ビクトリーフォースなら同じサイズで「M-65」となります。
うしろの「65」が性能ランクですが、他のメーカーと比べても最高ランクにちかく、パナソニックの高性能バッテリー「カオス」と性能ランクは同じです。
じつはこのビクトリーフォース、エネオスのプライベートブランドとはいいつつ、製造しているのはバッテリーのトップメーカーGSユアサ製です。
ユアサといえばハイブリッド車専用バッテリーを設計、新車搭載していたり独自の技術も持っていることで他のメーカーでは適合しない型式のバッテリーも存在します。
筆者も整備工場に勤務する整備士として20年以上、多くの車の車検整備をしてきましたが、ビクトリーフォースはタフなバッテリーで、軽自動車用でも5年以上安定して使用できている事例も多いです。
ビクトリーフォースは価格もそれなり
とはいえ、ビクトリーフォースは価格もなかなかで、軽自動車用アイドルストップ車バッテリーで比較すると整備工場でM-42のバッテリーを交換すると15,000円前後します。
対して、ビクトリーフォースのM-65をガソリンスタンドで交換してもらうと、お店によって価格設定も違いますが20,000円ちかく、軽自動車用としてはかなりの高額商品です。
出光のPBバッテリーZAXIAの正体
出光系のガソリンスタンド「アポロステーション」で販売されていたバッテリーZAXIA(ザクシア)も非常に耐久性の高いバッテリーでした。(2022年販売終了)
このバッテリー、なにか出で立ちに見覚えがあるなと思っていたらパナソニックのカオスの兄弟商品です。
旧パナソニックストレージ製でしたが、GSユアサエナジーに株式を売却されたあとはGSユアサバッテリーからプライベートブランドとしてアポロステーションで販売されてきました。
そのまえの出光PBバッテリーは「ダイハード」でしたが、これも非常にタフなバッテリーだったことを記憶しています。
現在では出光のブランドは「ZERIOUS(ゼリオズ)」となっていますが、バッテリーの製造元はパナソニック製とあります。
コスモ石油系列でもGSユアサ
コスモ石油系のガソリンスタンドで販売しているのはGSユアサの「ECO・Rシリーズ」となっています。
プライベートブランドとしてのネーミングもなく、コスモとGSユアサの両方のロゴが入ったそのまんまのECO・Rとしてのパッケージです。
商品の信頼性は言うまでもなく「間違いないヤツ」ですが、価格はホームセンターやカー用品店よりも少しお高くなっています。
ネットで購入できない商品もある
エネオスのビクトリーフォースを扱っている代理店で聞いたことですが、ビクトリフォースはAmazonや楽天などのネット通販で取り扱うことはできないそうです。
まず出品することが禁止されていて、もしもこっそりと出品していることが発覚すると、最悪の場合は商品を卸してもらえなくなるそうです。
言い換えれば、ビクトリーフォースはエネオスの代理店でしか購入できないバッテリーということになり、どこで購入しても価格に大きなばらつきはないといえます。
結論|ガソスタのバッテリーは安くないがモノはいい
ここまで読みすすめていただいた方が感じていただいているのは、『ガソスタのバッテリーは安くないがモノはいい』ということではないでしょうか。
信頼できる「店」「人」から購入したい
油外収益に本気で力を入れているサービスステーションなら、接客レベルだけでなく自動車に関する知識や商品知識もしっかりと勉強しています。
同じ看板を掲げているサービスステーションでも企業理念というかお客様との付き合い方にも違いが見られることがあります。
同じ商品を購入するとしても、できれば信頼できてアフターサービスもしっかりとフォローできるところにお願いしたいものです。
近年は整備工場の廃業が増えたり整備士不足も問題になっていて、車のメンテナンスの依頼や相談ができない「整備難民」が増えていると聞きます。
そんななか、フルサービスのガソリンスタンドの存在意義が見直されはじめています。
いつも馴染みのあるスタッフからバッテリーの交換を勧められたなら、「あなたから買う」「あなただから依頼する」という気持ちになれるなら、作業を依頼しても決して高くはないでしょう。
車のことはよくわからないし、どこか馴染の場所を作っておきたいならガソリンスタンドは給油するという来店動機があるので敷居は低いです。
まとめ
今回はガソリンスタンドでバッテリーを交換するのはお得なのか割高なのか?というテーマでした。
これまでのお話をまとめていくと
・ガソリンスタンドで扱っているバッテリーは品質の高いものが多い
・バッテリーの価格は安くはない
・長期在庫を掴まされないか注意
・とにかく安いバッテリーで交換したいならホームセンターやカー用品店が安い
・馴染みのメンテナンスショップとして利用したいなら担当者を指名しておく
DIYでバッテリーの購入をすることができるならバッテリーはネットで購入するのが最もオトクな購入方法です。
ただ、車に興味がない方や自分で作業をすることがハードルが高いと感じる方ならガソリンスタンドでバッテリー購入をするのは悪くない選択肢といえます。