車検という数万円から10万円以上の作業を依頼すると、見積書のなかのバッテリー交換の価格をそれほど気にしないユーザーも多いです。
なかにはユーザーの関心がバッテリー以外の作業などに分散されていることを承知で、高単価でハイグレードなバッテリーを入れ込んでいるところもあります。
今回は筆者の民間車検場での勤務経験をもとに、
といった、普段からお客様からいただく質問をもとにお答えしていく内容です。
車検でのバッテリー交換はホントに高い?
ディーラーや一般整備工場、カー用品店など、車検をどこに依頼するのかというところからバッテリー交換が割高なのか違ってきます。
車検のトータル金額に目がいき、バッテリーという当たり前のパーツの相場価格が気にならなくなるというユーザーの心理をセールス側は理解しています。
もちろん良心的な価格設定や丁寧な説明をおこなう整備工場もたくさんありますが、不必要に高額なバッテリーを買わされないようにユーザー側もバッテリーの相場を知ることも大事です。
また、アイドルストップ車やハイブリッド車など、バッテリーの価格が通常のエンジン車よりも高額な場合もありますが、市販されているバッテリーのなかから選ぶ余地はあります。
車検を依頼したら絶対にそこで勧められるバッテリーしか選べないということもなく、事前に確認する必要がありますが、バッテリーを自分で購入して交換を依頼することもできます。
ただし、バッテリーをネットで安く購入して持ち込み交換を依頼しようとしても断られることもあり、持ち込み交換をうまく依頼するコツもあります。
ディーラー車検でバッテリー交換
ディーラーで車検を受ける場合に、追加整備としてバッテリー交換を勧められた場合、見積書に入るバッテリーは有名メーカーのものになることが多いです。
具体的にメーカーを挙げると、GSユアサ、古河電池、パナソニック、といった誰でも知っているブランドを勧めてきます。
また、有名メーカーが製造したものをメーカー純正バッテリーとしてプライベートブランドとして販売していることもあります。
ディーラーの名に恥じないブランド
↓ メーカー純正バッテリーは有名メーカーが製造したものがほとんど。
ディーラーに車検を依頼するユーザーは「ディーラー車検だから安心」と考える方も少なくありません。
なかには少し勘違いをしていて、『ディーラーってメーカーなんでしょ?』と認識してしまっている方もいますが、どちらにせよそのメーカーの看板を上げた整備工場には違いありません。
そのため、車検の見積りに入るバッテリーは有名メーカーやそのメーカーのロゴが入った有名メーカーのPB(プライベートブランド)商品が多いです。
価格も決して安くはありませんが、そのぶんバッテリーとしての品質もしっかりしたものが多く、特別高額なものを勧められることはありません。
専用バッテリーは高額
バッテリーの中にはその車のための専用設計のものがあり、メーカー純正しか適合するバッテリーがない場合があります。
厳密にはそのバッテリーを設計、製造したメーカーが出しているバッテリーが適合することもおおいですが、ディーラーで車種別専用のバッテリー交換となると純正のみとなることが多いです。
たとえば、ホンダのオデッセイ(RB系)のなかにはUQ-85というアイドルストップ機能付きオデッセイ専用のバッテリーがあります。
GSユアサが設計したもので、ホンダ純正またはGSユアサの特定のバッテリーしか適合しません。
このバッテリーがユーザーさんからすると「高っ!」と思わず声にしてしまうほどです。
【関連記事】UQ-85とQ-85の違いとは?UQ-85と互換性のあるバッテリーは?
一般整備工場でバッテリー交換
ディーラーでもカー用品店でもない整備工場、たとえば「車検のコバック」や「アップル車検」など、個人の整備工場がフランチャイズで看板を上げている整備工場の場合、扱っているバッテリーはさまざまです。
取引先の部品商がどんなバッテリーを扱っているかもよりますが、有名メーカーのものもあれば、韓国製のAtlasBX、海外製のProFixなど、各整備工場によって仕入れるバッテリーは違います。
車検見積りでは、こちらから質問をしないとバッテリーのブランドやメーカーの説明はないことが多く、品質に関しては「純正品と同等くらいの性能です」とだけ話すことが多いです。
カー用品店でバッテリー交換
オートバックスやイエローハット、ジェームスなどでも車検を依頼することができますが、これらのカー用品店ので車検見積りを確認すると、店舗内で販売しているバッテリーがそのままの金額で入っています。
カー用品店では比較的に安価なバッテリーやPB(プライベートブランド)と呼ばれる自社ブランドをメインに販売しています。
自社ブランドのバッテリーのほうが仕入れ価格が安く利益率も高いので前面に出してくることも多いものの、製造元は有名メーカーであることも多く、品質は悪くありません。
ただし店内のバッテリーを購入した場合でもバッテリー交換作業料金を請求されることが多く、税別で2,000円から3,000円ほどが一般的です。
いっぽう、GSユアサや古河電池などのバッテリー老舗メーカーのものは置いていないこともあり、バッテリーの選択肢は自社ブランドや付加価値の高い高性能バッテリーに偏ること多く、選択肢が狭いといえます。
車検でバッテリー交換を持ち込みで依頼するコツ
トヨタのハイブリッド車に搭載されている補機バッテリーはGSユアサ製のものが多く、ネットで安く購入することができます。
全く同じ商品でもディーラーや整備工場で購入するとかなり高額になるバッテリーも多く、持ち込み交換を引き受けてくれるだけで車検費用を安く抑えることができます。
ディーラーや一般整備工場ではバッテリーの持ち込み交換を引き受けてくれる場合もあり、割安でバッテリー交換を済ますことができます。
ただしバッテリー持ち込み交換を嫌がるところもあるので、依頼先に配慮した手順も必要です。
理由はいくつかありますが、バッテリーは利益率が高い部品であり、自店舗の利益を守るために「持ち込みお断り」としています。
事前に持ち込み交換を打診しておく
車検当日にいきなり車と一緒にバッテリーを持ち込んで「このバッテリーで交換しておいてください」と依頼するユーザーさんがいます。
整備工場側としてはこういった事前に相談が無い部品の持ち込み交換は、あまりうれしくありません。
場合によっては交換作業を断られたり、高い交換作業料を請求されてしまうこともあるので、事前に車検を依頼する整備工場に確認をしておくことをおすすめします。
車検を行う整備工場側としては、あまり利益が出ない持ち込み交換はできるだけ避けたいという本音もありますが、そもそもその車に適合しないバッテリーである可能性も疑っています。
その車の車検証でしっかりと適合を確認したものなのか、自社在庫よりも余計にバッテリーのチェックをすることになります。
適合しないバッテリーとは、充電制御車用ではないバッテリーを充電制御車につけて欲しいと依頼されたり、プラス端子の位置が逆のものを購入していたり、長期在庫で充電状態が悪いものなどです。
つまり整備工場としては手間が増えるばかりで利益も出ないという、やりたくない作業となるので、できれば断りたいわけです。
ネットで購入して車検で持ち込み交換をする場合は、「適合は確認して購入したバッテリーですが持ち込みで交換してもらえますか?」といった感じで『適合は確認している』ということを一言添えておくことが大事です。
そのうえでバッテリーの持ち込み交換では交換作業料が割増になることも多いので確認しておく必要があります。
ディーラー車検でバッテリー交換を持ち込み依頼するコツ
ディーラーが車検を獲得しようする意図は、他の整備工場にはないこともあります。
自社で販売した新車や中古車はもちろん、他社で購入した車であっても、車検をきっかけに新車販売のきっかけを探しています。
そのため、車検の見積もりには整備士ではなく営業マンが行うことや整備士と営業マンが同席することもあります。
新車への乗り換えはまだするつもりはないが、今後もそのディーラーを利用していきたいことを伝えると柔軟に対応をしてもらえることがあります。
購入前に整備士に相談できればベスト
スマートフォンを使って、Amazonや楽天、ヤフーショッピングなどのECサイトでバッテリーを購入することが簡単にできるようになりました。
事前に自分の車に適合するバッテリーの型番などを調べておいて、車検の見積もりの際には「このバッテリーで合ってますか?」と整備士に確認できれば確実です。
整備工場との良好な関係性がなければできないこともありますが、親切な整備士ならアドバイスをしてもらえることもあります。
その場合は、整備士に時間を割いてもらっているということを理解して簡潔に質問ができるように事前に調べておきましょう。
当サイトではほとんどの国産車のバッテリーの適合表を掲載していますので、AmazonなどのECサイトまで進んでおいてから相談するとスムーズです。
最後に
バッテリーに関しては車検ごとに交換が望ましい車種や使用用途があります。
年間走行距離が少ない場合や、アイドルストップ車でバッテリーへの負担が多い市街地走行が多い軽自動車や小型車などです。
寿命には少し早いという段階のバッテリーでも、真夏のエアコンの使用や真冬の朝のエンジン始動性の低下など、トラブルを避けるために早めに交換することも大事です。
ネットで購入する場合、長期在庫などを掴まされてしまう可能性もありますが、レビュー評価の高い、販売量の多いところで購入することでリスクを避けることができます。
ネット購入をうまく利用できれば車検にかかる費用を抑えることもできるため、事前に調べておくことも大事です。
バッテリーの持ち込み交換に追加費用を設定している整備工場も多いですが、バッテリーのサイズが大きくなると、それでもかなりの節約になります。
当サイトでは国産車の搭載バッテリーのサイズや性能ランク、容量アップに関してわかりやすく適合表として多数掲載しています。
車検にかかる費用を少しでも安くすませたいとお考えの方々の一助になれば幸いです。
国産自動車のバッテリー適合表はこちら⇛